特別対談 vol.1 阿部 一二三 ×小西 毅

小西 毅理事長(以下:K):オリンピックも感動しましたが、個人的に聞きたいことで言うとオリンピックの内定選手決定戦で丸山選手との戦いがあったと思います。気持ちや気迫が感じられたのですが、あの試合に懸けた思いや気持ちを聞かせてください。

阿部 一二三選手(以下:H):そうですね、あの時は本当にオリンピックに出られるか出られないかと言うことが決まるところだったので、人生を懸けていたというか。大袈裟かもしれないんですが、命を懸けて準備していたし試合に臨みました。

K:試合自体も20分以上にわたり、最後はビデオ判定で大内刈りをされて印象的に残る場面でした。

H:あの試合に勝たないとオリンピックというのはなかったし、まずはここを勝ち切らないと、その先はないという思いでした。本当に自分の柔道人生を懸けて、自分の夢や目標のために自分の人生を懸けて戦いましたね。

K:なるほど。我々が子供の時に見ていた古賀選手、野村選手に次ぐ三人目の天才だと呼ぶ声もありますし、実際には感覚で試合をされていると言うお話も聞くんですが、天才じゃないという意識なのか、才能がありながらも努力を続けているんだというとどちらでしょうか?

天才っていうのは今でも思ったことはなくて、本当に努力してオリンピックチャンピオンも掴み取ったと思っています。ただ、才能っていう部分でいえば、努力し続けられる才能、負けたとしても次に前に向いて頑張る諦めない気持ち、心の部分が強いっていうのはひとつの才能なのかなと思うところはあります

K:いろんな誘惑もあるのではないかと思いますが、その努力を続けるモチベーションはどこにありますか?

H:やはり一番は本当に柔道が強くなりたいということ、あとは本当に柔道が好きです。東京オリンピックが終わるとパリのオリンピックを目指します。そして、オリンピックで4連覇することが自分の最大の夢であって目標です。

K:我々は青年経済人として、神戸のまちをより明るく豊かにしていきたいということでいろんな活動を続けている団体です。このオリンピックの4連覇という目標の先に、国民だとか世界の人々に対してどういったことを思ってほしいと、どんな風に日本や世界を変えたいといった思いってあるんですか?

H:本当に柔道をもっと広めたいという思いは大きいです。日本でいうと年々競技人口が減ってきているのもあるので、もっと柔道を盛り上げていきたいっていう思いもあります。柔道ってこれだけ楽しいんだよってたくさんの人に知ってもらいたいです。あとは僕も地元の神戸でを盛り上げていけるのはすごく嬉しいです。

K:たしかに神戸駅の北側に詩さんの金のポストができていたり、本当にまちを活気づけていますし、名所としてインスタグラムの投稿も多いですよね。今おっしゃっていただいた柔道を世界に広めていきたい、もっと知ってほしいというところでは、阿部選手のインスタグラムがすごく素敵だなと思っております。柔道以外の阿部選手のかっこよさも引き出しているように感じます。

H:柔道を盛り上げていきたいという思いが一番ですが、堅い部分だけではなく、かっこよさをもっとみせていきたい、小さい子供とかが憧れたり夢を与えられるような感じは少し意識しています。

K:また、食事を3食とも自分で作られたり、道着を自分で畳んだり、そういうひとつひとつの当たり前のことを当たり前にするという記事も目にしました。そういうことを常日頃から考えてらっしゃるってことなんですかね。

H:そうですね。自分がやっていることっていうのは全て柔道につながると思って、そういう気持ちで取り組んではいます。

K:また、神戸市出身で高校も神港学園に行かれていということで、思い出の場所とかお店などはありますか?

H:僕はやっぱり地元のヴィッセル神戸、今で言うノエビアスタジアムですかね。
小さい頃からトレーニングをやってて1番印象に残ってますね。

K:そうだったんですね。神戸に帰って来られることもあるんですか?

H:そうですね。最近は年に1~2回帰れたらいい方です。なかなか頻繁には帰れないんですが、帰った時はノエビアの公園でトレーニングもしますね。

K:そうだったんですね。我々は神戸の街をより豊かに明るくっていうところで活動しているんですけれども、今東京で生活されてて、神戸のまちってどう思われるか、どうなってほしいなというところを教えてもらえますか。

H:やっぱり神戸の街って東京と比較してもすごい綺麗だなって思いますし、すごく賑やかなんで、今のままですごくいいんじゃないかなと思ってます。僕自身神戸に帰ったら落ち着きますし、すごくいい場所だなって思います。

K:そう言っていただけると自信がつきます。我々も30代のメンバーがほとんどですので子供がいるメンバーも多いんですけれども、子供に向けてのメッセージなどいただけますか。

H:僕自身小さい頃から柔道をして、自分自身も努力が報われないことも結構あったりしました。努力することに意味があるなというか、試合に勝てなくても努力したこと自体に価値があって頑張ることに意味があると思います。結果が出なかったり勝てなかったりしても頑張って何事もやり続けてほしいと思います。

K:また我々JCメンバーに向けても一言いただけますでしょうか。

H:僕なんかが恐れ多いんですけど、僕も試合で負けたりという経験してきて、後から色々考えるとひとつひとつ自分のやってきたことには無駄なんてなくて意味があったんだなって思っています。この話聞いてても意味ないのかなと思うような時でも僕自身はしっかり聞くようにして取り入れようっていう気持ちでいるとふとした時に活かせることがあります。

K:失敗も成功もアドバイスも全て一旦は受け入れて、いつか活かせるんじゃないかという思いで飲み込むということ、確かに本当にそれは大切ですよね。
また、失敗した際のリフレッシュの方法などはありますか。

H:そうですね。やっぱり一番落ち込むのって大会で勝てなかった時なんですけど、その時はもう美味しいご飯を食べて友達とみんなでワイワイします。次の日には次に向けて頑張ろうと思ってすぐ切り替えるようにはしています。いつまでも引きずっててもその事実は変わりないので、しっかりそれを受け止めて、前を向いて次に進んでいこうというのは心がけています。

K:4連覇という大きな目標がある中で、全て自分の成功の裏付けにされているということが非常によくわかりました。今日はお忙しいところ対談のお時間いただきまして誠にありがとうございました。2年後のパリの大会、心から応援しておりますし、優勝されることを確信しております。ありがとうございました!

H:ありがとうございました!

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