上島会長×小西会頭×森谷理事長 特別対談

対談テーマ

昨年、2026年度全国大会神戸大会の誘致が決定し、これから主管LOMとして実行していくにあたり、全国大会立候補に至るまでの経緯や、過去の全国会員大会神戸大会、そしてこれから開催に向けて、神戸のまちや神戸JCに対する展望を神戸青年会議所(以下、神戸JC)の歴代理事長である上島歴代、小西会頭を交えて神戸のまちの魅力について語っていただきました。

Profile

上島 達司(うえしま たつし)

1938年生まれ
1961年 甲南大学 卒業
UCC上島珈琲株式会社 代表取締役名誉会長

【JC歴】
1963年 神戸JC 入会
1974年 神戸JC 第16代理事長
1976年 日本JC 副会頭

 

小西 毅(こにし たけし)

1984年生まれ
2006年 京都大学 卒業
2009年 関西学院大学法科大学院司法研究科を修了
大阪A&M法律事務所 共同代表

【JC歴】
2015年 神戸JC 入会
2022年 神戸JC 第64代理事長
2023年 日本JC 副会頭
2024年 日本JC 第73代会頭

 

森谷 圭(もりたに・けい)

1988年生まれ
2011年 立命館大学 卒業
株式会社モーリヤ 専務取締役

【JC歴】
2017年 神戸JC 入会
2024年 神戸JC 第66代理事長

 

森谷:本日は、UCC上島珈琲株式会社代表取締役名誉会⾧の上島達司先輩(以下:上島歴代)、公益社団法人日本青年会議所第73代会頭の小西毅君(以下:小西会頭)に来ていただきました。大変お忙しい中お時間をいただきありがとうございます。本日は、2026年に開催予定の全国大会神戸大会に向けて、そして神戸のまちや神戸JCについて、いろいろとお話をお伺いできればと思っています。

■全国大会神戸大会立候補に至るまで

森谷:昨年度、2026年度全国大会神戸大会が開催されることになりましたが、その経緯について少し触れたいと思います。2020年度に⾧期的な視野で神戸JCのめざすべき姿を検討する「中⾧期戦略会議」が設置されました。初年度は、全メンバーにアンケートやヒアリングを行い、検討を重ねました。その際には、小西会頭も会議の主要メンバーとして参画しておられましたね。

小西:そうですね、「中長期戦略会議」を作った理由は、JCが単年度制であるのはメリットでもデメリットでもあり、単年度制になるとどうしてもその年の理事長がやりたいことが前面に出ますし、自分の特徴をつけたくなってしまうからです。それが5年後、10年後の神戸のまちを見据えてやっているのかというのが出発点で、中長期な視点を持ちながら単年度を動かしていくべきだと感じています。まちづくりという中長期的な視点で考えていかなければ、きっと団体としての存在意義がわからないんじゃないかというのがありました。その時は5年刻みでやっていたんですけど、まず5年後に残っているメンバーが中心となってやるべきだということで、役職関係なく若手のメンバーを人選しました。その当時私は副理事長だったので、会議のメンバーでしたけど、絶対に自分の想いや意見は一切言わないように徹底していました。それは若いメンバーたちがどうやって考えたらいいかとか、どうやって資料を集めたらいいかとか、どうやって研究したらいいのか、みたいなのをずっとアドバイスだけして、あとは自分たちで考えなさいというのを注意深くやっていましたね。

だから理事長も発言しないし、残っているメンバーがやらないと全く意味がないです。毎年毎年同じことやっていていいのかとか、このまちの未来を考えたときに、やっぱり神戸のまちっていうのは、これからインバウンドをもっと根づかせないといけないし、日本全国から人が集まってくる地域にしないといけないということが明確になりました。そのためにはまず人を呼べる環境っていうものを自分たちで立証しないといけないですし、作り上げないといけないということです。そこで、世界会議やASPAC、全国大会などを誘致する考えになりました。その中で5年以内に実現できそうなのが全国大会でした。全国大会を開催すれば、1日で1万人規模の青年経済人がこの神戸のまちに一気に来られます。1万人規模の事業ができるまちっていうのはそこで立証できますし、そのために何が足りているのか、何が足りていないのかということを検証できるのが有意義だなというので、ぜひ全国大会をしてみたらどうだという話をしました。実際に手を挙げると、神戸では過去に2度全国大会を開催していますから、開催は大丈夫だろうという経緯です。

森谷:貴重なお話をありがとうございます!上島歴代は、現役メンバーから全国大会を立候補したいとお聞きになってどのような印象でしたか?

上島:現役から全国大会を誘致したいと考えていると初めて聞いた時は嬉しく思いました。私自身、過去開催した1966年、1978年の全国会員大会を現役メンバーとして経験しました。2度経験して思うことは、当日までの準備、そして当日終えるまでとても大変でしたが、メンバー全員が一丸となって成しえたことは貴重な財産です。現役メンバーがやりたいと思うのであればぜひ応援したいと思いました。

森谷:未経験の私には、想像もつかなく、期待と不安でいっぱいなのが正直なところではありますが、シニアの方々にもそう思っていただいて現役メンバーとしては嬉しく思います。

■全国大会開催の意義と目的

森谷:では「全国大会」そのものですが、どういう背景から、どういう目的でという点についてお話しをお伺いできればと思います。今年度、会頭として全国津々浦々巡られている小西会頭としてはどうお考えですか?

小西:全国大会はやはり1年間の集大成の事業であり、その場で次年度に何をしていくのかをしっかりと継承する場という風に思っています。もう一つ忘れてはならないのが、卒業生のための場です。皆さんで卒業生を労い、楽しく明るく卒業していただくために盛大にお祝いする場にしていただきたいなと思います。また全国大会は、現役だけのものではなく、シニアの方々も全国から集まってエクスカーションや懇親会があります。シニアの皆さまが実行委員会を作って大変な準備を行い開催がされます。

森谷:シニアの皆さまにとっても重要な大会であると考えられているんですね。今は「全国大会」と呼ばれていますが、昔は「全国会員大会」 と呼ばれていましたよね。

上島:そうですね。記念すべき第1回全国会員大会は、1953年名古屋の地にて開催されました。当時は、30LOM、153名のメンバーが参加したそうです。昔は「メンバーの発展」のためという傾向が強かったと思いますが、今では「まちの発展」のために行われるという考えの方が強い印象があります。

森谷:時代の変化とともに、全国大会の期待と役割も変化していったのですね。

■全国会員大会神戸大会について

森谷:これまで1966年には第15回全国会員大会、そして1978年には第27回全国会員大会が神戸の地において2回開催されました。過去はどのような開催内容だったのでしょうか?

上島:第15回全国会員大会は、「JAYCEEの若さで創ろう 明るい未来」というテーマで、当時理事⾧兼全国大会実行委員⾧であった鳥越浩先輩のもと開催されました。記念事業は、神戸市へブロンズ像の寄贈、兵庫県へパトカー3台を寄贈しました。また、「兵庫と神戸産業物産展」を旧三宮そごう店の催場で開催しました。「あすへ伸びる兵庫県、神戸市」模型・パネルの展示や、灘の酒、姫路の皮革、豊岡のカバン、明石の鯛みそをはじめとする兵庫県下各地の名産品を展示しました。特に、三木JCの金物でつくられた大ワシや、小野JCのそろばんの玉を連ねた猛虎が光彩を放っていました。

森谷:現在でも各種大会では、各LOMがブース出展をしています。地域の魅力を対外に発信することは、地域活性化のために重要ですし、今も昔も引き継がれているのですね。それにしても、金物の大ワシやそろばん玉の猛虎の展示はすごいですね!豪快さを感じます!続いて、2回目の開催はどのようなものでしたでしょうか?

上島:第27回全国会員大会は、「翔き―Take off with the Jaycees-」というテーマで、三木重昭理事⾧、井植貞雄全国大会実行委員⾧のもと開催されました。記念事業は、カナディアン・アカデミーの学生が車引や伊勢音頭という歌舞伎を踊ったり、また、ハーマン・カーン博士をお呼びし、日本が今後抱える課題や日本の文化や経済がどのようなバランスを取りながらめざすべき地域社会の在り方について講演やパネルディスカッションを行いました。当時の会頭は麻生太郎先輩でしたね。この度、全国大会神戸大会の開催決定時の会頭がご子息の麻生将豊君ということで、何かの縁を感じましたね。

森谷:全国から来神のメンバーの皆様へのおもてなしですね!私たちも開催時には、神戸ならではのおもてなしの精神を大事にしたいと思います。また、日本の課題やこれからの地域社会のお話は、日本の将来のために常に考えて、行動しなければいけいない永遠のテーマだと感じました。貴重なお話ありがとうございます。

小西:ちなみに1978年の全国大会はどういう経緯で開催することになったのでしょうか?

上島:私は1974年に理事長をさせていただきましたが、その数年前には決まっていたように思いますね。昔は決まるのが早かったように記憶しています。

森谷:そうだったのですね。事務局に当時のアルバムがあったので、本日お持ちしました。ぜひ御覧になってください。

上島:アルバムを見ていると、昔のことをいろいろと思い出しますね。昔はやっぱり古き良き時代でしたね。

森谷:私たちも30年後、40年後に写真を見て、良い時代だったと言いたいです。

■全国大会神戸大会にむけてシニアクラブの活動ついて

森谷:2026年の全国大会神戸大会に向けて、シニアクラブの皆様や日本JCにもいろいろとサポートをいただくことになるかと思いますが、シニアクラブとしてはいかがでしょうか?

上島:日本JCシニア・クラブというものがありまして、神戸JCシニアクラブとは別組織になります。シニアは卒業後からなので、実は現役の在籍期間と比べて圧倒的に長いです。シニアと現役を繋ぐのにどのように取り組んでいったらいいのか考えると、やっぱり現役は凄くエネルギーもあって元気です。現役が何かを決めたら、シニアは現役をサポートすることが一番なんじゃないかと思いますね。甲斐歴代理事長もシニアの理事会では議案作成して上程してくれていますね。卒業してからも頑張ってくれています。

森谷:とても心強いお言葉ありがとうございます。小西会頭はどのようにお考えでしょうか?

小西:シニアの方々のサポート体制があるのが本当にありがたいことで、それがないと現役だけでは始まらない部分も大いにあると感じています。やっぱりJCを長年されてきて、また卒業されてからもJCに携わられていて、その方々の知見というのは現役では分からない、感じたことがない部分があって、その助言を受けることができるのはありがたいことですよね。全国大会の立候補、また決定してからシニアの皆さんとの関係がより近くなり、シニア例会に参加する抵抗感も無くなったと思います。シニアと現役で何か同じことをすると、横の繋がりができ、それこそまさにALL KOBE JAYCEESを体現していると思います。全国大会というものはそういったことを導いてくれるといいますか、みんなの財産になると思います。

■2026年度の全国大会神戸大会に向けての想いと期待

小西:再来年ですね。今、神戸は、阪神淡路大震災の借金を返し終えたところで財政的には少し余裕がありこれから再開発が益々進んでいくと思います。三宮駅前の再開発が始まり、2年後となれば、アリーナが完成していて第二突堤はフルで開発が終わっていて、次はどこを開発しようかなぐらいの話が始まっているタイミングになると思います。ちょっと神戸変わってきたんじゃないかなと、神戸凄くなるんじゃないのかというのを感じてもらえるような大会にしたいですね。

森谷:神戸のまちは全国的に見ても、カッコいいまち・お洒落なまちという印象を持ってもらっていると思います。小西会頭もおっしゃったように、神戸のまちはこれからどんどんと進化していきます。全国のJCメンバーやその家族の皆さまが、全国大会神戸大会を機に神戸のまちを訪れていただくことで、神戸のまちの魅力やこれからの発展の兆しに触れていただけると幸いです。

■全国大会神戸大会を経て神戸のまちと神戸JCに対する展望

小西:古いままの建物が残っているイメージが結構あります。それは海岸沿いや北野坂とかのような価値ある古さではなくて、北野坂から大丸の北側ぐらいまでのまだ十分に手をつけられていないエリアの開発がどんどん進んでいけば、まちの雰囲気自体も変わりますよね。居留地付近は価値もあって私自身好きなので、そのまま残して欲しいと思いますが、それ以外のところがどのように変わっていくのかですね。ゆくゆくはホテルも新しいのができると思いますが、できれば海外のホテルが来てほしいと真剣に思っています。神戸変わってきたなとなればみんなが注目しますし、また今度行ったらまた変わっているかもみたいな期待感も出るのではないでしょうか。最近、駅を降りて変わっている風景を見ると嬉しいです。

上島:先日、ある新聞で京都はシティホテルが19つ、大阪は15つあるのに対し、神戸は2つしかないという記事を読みました。観光の観点から言うと、シティホテルを増やすことは同感です。神戸市は、再開発や医療産業都市、IT関係、スタートアップ関係に注力していますね。しかし、コンベンションシティとか、ファッションセンターとかがあまり進んでいないので、課題は多いように感じますよね。
また、普段お客様に「どこに本社ありますか?」と聞かれて「神戸」と言って、「あの神戸ですね」と言われるとやっぱり嬉しいですね。食品企業として神戸をよいイメージにしたいと思うので、神戸はもっともっと頑張って欲しいなと思います。
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森谷:まちづくりを若者が考えることというのはすごく共感できる話です。神戸に対する想いと期待の貴重なお話をありがとうございます。

【今後の神戸JCへの期待】

上島:私たちが現役の時は経済開発がメインでしたが、今では社会奉仕がメインになっているので、時代の流れに合わして活動をしている印象がありますね。リーダーシップで引っ張っていくというのではなくて、中に入っていって、一緒になってやろうというような方向ですね。
昔はみなとまつりのような事業はやってなかったので、本当みんな身体を使って汗流してよくやっているなと思って感心しています。時代の流れであったりはすると思いますけどね。

小西:実は、経済開発の視点に去年から戻しています。日本がインバウンドで儲かるための仕組みについての委員会を今年度の1丁目1番地にしています。東京や京都、大阪といったオーバーツーリズムが発生している地域以外の地方において、いかにしてインバウンドを呼び込むのか、その仕組みや地域での好循環のあり方を考えています。昨年、麻生直前会頭の時は、日本国内にある伝統や文化、私たちが当たり前と思っているモノをいかに海外に売っていくか、海外からは全く知られていないモノをどのように知ってもらい、ECを使って売り、利益を得て、地方を活性化させるかという運動を各地方で推進しました。
今後も経済開発をしていくべきです。そうでないと単なるボランティア団体になってしまっています。経済開発の意味合いが結局は経営者開発になり、それは本来JCがしていくべきことです。青少年事業や社会貢献事業に偏っているJC運動を、今一度戻そうとしている最中ですね。
ボランティアももちろん大事ですけれど、もうボランティア団体ではないんだと。今までもできることはいっぱいしてきていますからね。

上島:たしかにそうですよね。私はJCでもビジネスもしたいと考えていたので、JC活動をすごく頑張りました。いろんなご縁があり、現在に至るまで出店させてもらったりと、良い関係性を築かせていただいています。JCはそういった意味でもやりがいのある団体だなと感じています。現役の皆さんも引き続き頑張って欲しいですね。

森谷:私も卒業まであと数年ありますので、しっかり活動して参りたいと思います。本日は、ご多忙のなか貴重なお話をいただき誠にありがとうございました!

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